第1回ワクチンフォーラム

基調講演 講演2「必要とされる予防接種システムとは」 「地方公費助成から定期接種へ」

座長:川崎市衛生研究所 所長 岡部 信彦 先生

演者:国立病院機構 福岡病院 統括診療部長 岡田 賢司 先生

ここ20年近く、わが国ではワクチンの開発・導入が停滞していた。そのため、「ワクチンギャップ」をきたし、予防接種による疾病予防の点で欧米諸国に大幅な後れをとっていたが、近年新しいワクチンが続々と導入され、その後れを取り戻し始めたところである。
本講演では、国立病院機構 福岡病院 統括診療部長 岡田 賢司 先生が、予防接種の重要性とワクチン接種スケジュールの啓発のあり方について解説した。

  • 生後2ヵ月からのワクチンデビュー

    2008年より、Hibワクチン、肺炎球菌ワクチン(PCV7)、ロタウイルスワクチンなどが続々と承認され、わが国のワクチンギャップが少しずつ解消されている。加えて公的助成制度が推し進められ、ワクチンの接種率は以前より向上している。しかしながら、劇的なワクチン導入効果はまだ認められていない。十分な導入効果が得られない理由の1つとして、ワクチンの接種時期に原因があると推察される。例えばHib、肺炎球菌による髄膜炎の発症ピークは、生後6~7ヵ月であり、この時期までにワクチン接種を完了していないと、乳児はこれらの菌を保菌している可能性が高く、ワクチンを接種しても十分な抗体獲得は期待できない。ワクチンによる予防効果を十分に発揮するためには、感染・発病の前にワクチン接種を完了することが必要である(図3)。

    図3 感染・発病する前に接種完了を

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    今後、製薬企業あるいはワクチン産業協会が提供する情報提供誌を活用し、「生後2ヵ月からのワクチンデビュー」の呼び掛けが重要となる。

  • ワクチン接種スケジュール―ワクチンの同時接種―

    新たなワクチンが導入されたことで、必然的にワクチン接種スケジュールが複雑化し、受診回数は増加した。そのため、日本小児科学会はワクチンの同時接種を推奨している。
    またワクチンの接種間隔においては、ブレイクスルーを防ぐために接種間隔の見直しを要するものもある。これについては行政あるいは自治体と積極的に議論していくことが求められる。
    ワクチンの同時接種が推奨されるなか、その安全性について、Hib、PCV7、風疹・麻疹混合ワクチン(MR)、日本脳炎ワクチン、三種混合ワクチン(DPT)などの各種ワクチンにおける2本あるいは3本同時接種時での副反応(局所反応、37.5℃以上の発熱)について検討がなされている。中間報告における同時接種の組み合わせは、2本同時接種がPCV7+Hib、3本同時接種がPCV7+Hib+DPTで大半を占めていた(図4)。局所反応については、接種時期あるいはワクチンの組み合わせによって、局所反応のリスクが若干上昇する傾向がみられた。発熱については、PCV7との同時接種において発熱のリスクが上昇することが認められた。しかしながら、副反応のリスクを考慮しても、同時接種で適切な時期に適正な回数の接種を完了し、すべての子どもたちがワクチンの恩恵を得られるようになる方がより望ましいと考えている。

    図4 同時接種の組み合わせ

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